便秘外来
便秘で悩む方はたくさん存在しておりますが、病院で便秘の治療をきちんと受けている方はかなり少ないです。便秘と一口に言いましても、お通じが4~5日出ない、腹部の張り、排便時の腹痛、便が残った感覚があるなど、症状は多岐にわたります。
3日以上便が出ない状態ですと、「便秘症」の診断が下されます。しかし、毎日便が出ていた場合でも残便感があったり、薬局で販売されている便秘薬を何度も飲んでいたり、便が硬くておなかの張りや痛みがあったりする方でも、治療を受けることで便秘が改善できます。当院では、患者様のお悩みを丁寧にお聞きし、一人ひとりに合った治療を提案しております。
このような症状がある方は、便秘外来へ
- 硬い便が出る
- 3日以上便が出ない
- お腹の張りが強い
- 排便後でも便が残っているような感覚がある
- 便に血が混じっている
- 下半身がむくんでいる
- 最近、便秘薬を飲む量が増えた
- 下剤を飲んで下痢状態にしている
など
便秘の原因
運動不足やライフスタイルの変化、ストレス、食物繊維・水分の不足など、いろいろな原因が引き金になって便秘になります。
規則正しい排便リズムがないと便秘は起こりやすいため、毎回、決まった時間に排便する習慣を身につける必要があります。
また、腸内フローラと便通は密接な関係を持っているため、発酵食品や善玉菌が多く含まれた食品を積極的に食べることも良いでしょう。
便秘の種類
便秘の種類は様々です。種類に合った治療を行うことで、改善が期待できます。
機能性便秘
ストレスを発散したり生活習慣を改善させたりしながら、投薬治療を合わせて行うことで、症状の改善が見込めます。
結腸通過時間正常型 | 直腸まではスムーズに便が通りますが、便意の低下によって排便しにくくなり、便秘になるタイプです。 |
---|---|
便排出障害型 | 排便機能が低下することで、いきんで排便しても便が出にくくなるタイプです。 |
結腸通過時間遅延型 | 大腸の蠕動(ぜんどう)運動の機能が低下することで、便が直腸まで通るのに時間がかかってしまうタイプです。 |
従来の機能性便秘の分類は、痙攣性(けいれんせい)便秘と弛緩性(しかんせい)便秘、直腸性便秘の3種類で分かれていました。しかし現在では、腸管を通過する時間を基準に、上記の3種類に分類されています。
従来の分類法は、下記の項目をご覧ください。
痙攣性便秘 | 腸管の蠕動運動が動きすぎることで、便秘が起こるタイプです。 うさぎのフンに似た、コロコロとした便が出るのが特徴です。ストレスや下剤の大量摂取が原因で起こります。 |
---|---|
弛緩性便秘 | 高齢者に多くみられ、腹圧や腸管の蠕動運動が機能低下することで起こるタイプです。スムーズに便を外へ出せなくなる状態になります。 |
直腸性便秘 | 便意を我慢する癖がついてしまうことで起こるタイプです。我慢し続けることで、直腸の排便反射が落ちてしまいます。 |
続発性便秘
肛門・直腸の疾患 | 慢性的な切れ痔による肛門狭窄(きょうさく)が原因で、排便が通る時に強い痛みが起こる状態です。肛門を広げる手術を受けることで、改善することができます。 |
---|---|
器質性便秘 | がんによって直腸が閉塞したり、手術後に癒着が起こったりすることが原因で、排便がうまくできなくなる便秘です。原因となる部位を除去する手術を受けていただく必要があります。 |
その他 | パーキンソン病などの神経・筋疾患が原因で起こる便秘です。甲状腺機能低下症や糖尿病などの治療薬の副作用として、便秘になるケースもあります。 |
便秘が及ぼす体への影響(症状)
本来、人体には食べたものを便として排泄する仕組みが備わっています。
便秘になると、身体に不要なものが体外へ排出されなくなるため、身体によくありません。
腸内にはたくさんの種類の細菌が存在していて、その中には便を腐敗させ、ガスを発生させる菌がいます。便秘で腸内に便が溜まり続けてしまうと、ガスも溜まり、身体に悪影響を及ぼしてしまいます。
お腹の張り
便秘を訴える患者様に多く見られる症状です。腹部の不快感や痛み、下腹部の張りも伴います。
肌荒れ
腸内の細菌が増殖することで、肌荒れになることがあります。
その他
頭痛や肩こり、吐き気、不眠などを伴うケースもあります。
便秘の診察・検査
問診
排便に関するお悩みや症状について丁寧にお聞きしてから、便秘の種類や原因を探ります。その後、腹部の聴診・触診も受けていただきます。
検査
患者様の多くは問診と聴診・触診で、便秘のタイプが特定可能です。また、必要に応じて、血液検査などの検査も受けていただくこともあります。
便秘の治療
生活習慣の改善
問診では、日ごろの食事やライフスタイルについて細かくお伺いし、患者様の生活習慣に合った改善方法を提案いたします。
薬物療法
薬物療法では主に、下剤を処方いたします。下剤は四種類あり、消化管運動調整剤と機械的下剤、刺激性下剤、漢方薬の中から選びます。
患者様の年齢や症状などを考慮し、一人ひとりに合った処方を行っております。
お薬の効き具合や副作用の有無は個人によって異なるため、定期的に相談して、お薬を調整していきましょう。